高屋永遠Takaya Towa

高屋永遠

高屋永遠《仙郷(泉)》、2024年 
制作協力: Hajimari Beppu 写真提供: Lurf MUSEUM

※画像と出品作品は異なる場合があります

Profileプロフィール

現代美術家

1992年東京都生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校を卒業後、現在東京を拠点に活動。国内外の土地や植物、化粧 原料などから自作した色材を用いて作品を制作する。繊細 な色のスペクトラムの探求と豊かな階調が織りなす独自の 奥行きは、鑑賞者を日常から切り離された精神の空間へと誘う。

<主な展覧会など>
2023 ART SHOW GINZA ONBEAT x MITSUKOSHI / 銀座三越(東京)
2023 揺動する絵画空間 / 資生堂グローバルイノベーションセンター(横浜)
2023 JOY AFTER ALL - 花信風 / Lurf MUSEUM(東京)
2023 Chroma Distance / POLA MUSEUM ANNEX(東京)
2022 diverse paintings / 西武渋谷店(東京)
2019 ART FAIR TOKYO 2019 / 東京国際フォーラム(東京)
2016 ON the THERESHOLD II: Formal Presence / Oriental Museum(ダラム・英国)
2009 第83回国展 入選 国立新美術館(東京)

Statementステイトメント

私の制作者としての主眼は、私たちの世界に対する認識を、人間が操作できる言語的な認識から、非言語的な認識の領域へと、色彩を通して押し広げることが可能かという探求にあります。色彩を通して、言語では説明しきれない領域にある世界への接近を試みることで、複雑化する現実的な世界にある概念的な衝突を乗り越える余地を探求しています。それは、ポストトゥルースと分断の時代における、イデオロギーや差異を乗り越えるための「融和への応答」です。



私は、色彩を存在内に働きかける物質だと考えます。制作された作品は、個人的な無意識を超えた普遍的な無意識へと対話するために、絵画の歴史性やそこに紐づく権威性を脱構築し、再構成された絵画空間です。メイクアップで使われるパール剤や金属などを油彩画へと用い、それぞれの素材の光の屈折率がことなることによって、人間の目には揺動する平面として現れます。



この存在論的な問いかけのための平面作品は、展示空間の光の変化とともに、鑑賞者が作品との距離や角度を変えながら体験的に没入できるように設計されています。その没入的な鑑賞体験は、同時に瞑想的な体験でもあり、鑑賞者は、彼らの内面世界の時間の感覚や記憶を再認識し、また忘却するという意識の揺らぎを体感します。そのような意味において、作品は、制作者と鑑賞者を繋ぐ媒体であり、感覚器としての人間の身体の可能性を共に考察するための装置とも言えます。



同時に、平面上には、展示空間の光の変化と共に反応し、揺動する多次元的な奥行きが生じます。私たちの心の状態と、空間の環境の変化とともに、見えるものが変化する作品は、ある意味で超越的な次元の一部分が結晶化したものです。



イメージを伝達するための絵画ではなく、鑑賞者自身の心を覗くための絵画は、加速度的に進展する情報技術がもたらすポストトゥルース時代において、私たちの身体性を取り戻し、いまここに在る存在としての確からしさを知るためのものです。それは、「私たちが生き抜かなければならない環境」としての世界を、生き得るものへと再解釈する行為でもあるのです。


-2024.05

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