大平 由香理Ohira Yukari

大平 由香理

大平由香理《末広温泉 由布岳》2015年 撮影:Rina Nakano

※画像と出品作品は異なる場合があります

Profileプロフィール

日本画の画材と技法を用いて自身が出会った風景を描く。各地で滞在制作を行い、その土地で出会った光景や事象を元に作品制作を続けている。2013年 東北芸術工科大学大学院 日本画研究領域修了。近年の主な展覧会に、末広温泉浴場壁画制作(大分、2015年)、「公開滞在制作」斉藤清美術館(福島、2016 年)、「北アルプス国際芸術祭」(長野、2017年)、「VOCA展」上野の森美術館(2019年)、「OITA ART FESTIVAL2019 回遊劇場」(大分市、2019 年)、「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ」つなぎ美術館(熊本、2019年)、「第 8 回 東山魁夷記念日経日本画大賞展」上野の森美術館(2021 年)、「アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.12 大平由香理」岐阜県美術館(2022年)、吉野石膏美術振興財団在外研修員(研修国 アメリカ、2024年)。他、文化庁 文化芸術による子供の育成事業(芸術家の派遣事業) 、みんなの芸術文化体験事業(大分県)にて障害者支援施設、放課後デイサービス、支援学校、児童館等にてワークショップ講師多数。

Statementステイトメント

私は生まれ育った土地を離れて、様々な土地に赴きながら絵画制作をおこなっている。身の回りの風景や身体感覚など、自分にとってリアリティがあるものを手がかりに、手が届かなさそうな存在を具現化させ、明確に「部分」が実在するのに、現実にはないものを描くことで、想像を超越したよりリアリティのある「圧倒的な存在」に迫る試みを行っている。実際に私が遭遇した「圧倒的な風景」をもとに記憶に残る様々な場面を自分の中に取り込み、それを現場でスケッチしたものを元にして描きおこしたものと、今後実際に見てみたい光景を断片的に繋ぎ合わせることでパノラマ的な風景を創り出している。 写真の再現性にもグーグルアースの仮想空間にもない「体験的な場所のリアリティ」は、私の身体と、身体が生み出す時間をもってのみ画面に定着させられるものとなる。実在するものと、そうでないものを繋ぎ合わせることにより、時間を横断し「ありそうで ないような風景」「みたことがあるような ないような光景」を立ち上がらせたい。そうすることで現実や想像を超えたよりリアリティのある絵画表現でしかなしえない圧倒的な存在に迫ることができると考えている。私が描く「どこかで出会った懐かしい風景」「これから出会いを期待させるような光景」は、誰かの「心のふるさと」として、共有できるかもしれないと思いながら制作にあたる。鑑賞者が私の作品をみることにより自らの経験の中から自発的に作品と対話をしていけるような役割を作品にもたせたい。近年、科学技術の進歩と共に、人々の想像力が従来と比べて減退しているのではないかと感じる。情報が氾濫し、未知なる事柄に対しても既にテレビやネットを通して疑似体験をしてしまい本物を経験する事無く、分かったつもりになっている事が多いのではないか。情報過多の現代において自らの内なる声を問うて聞くことは難しいかも知れない。このような現代だからこそ、芸術と実際に向き合い、実感として心の動きを体感することが必要だと考えている。大分では約8年間という時間を過ごさせてもらい、唯一無二の多くのことを経験させていただいた私にとっての第2のふるさとである。昨年度から別府とは身体的に距離が生まれた中で思い浮かぶ風景が変わり、他の風景を見てきた上で改めて別府を描き、別府の人に再び作品をみてほしいと思っている。

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