中﨑 透Nakazaki Tohru

中﨑 透

《看板屋なかざき》2014年 撮影:小山田 邦哉

※画像と出品作品は異なる場合があります

Profileプロフィール

1976年茨城生まれ。美術家。武蔵野美術大学 大学院造形研究科 博士後期課程満期単位取得退学。現在、茨城県水戸市を拠点に活動。言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレをテーマに自然体でゆるやかな手法を使って、看板をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、形式を特定せず制作を展開している。2006年末より「Nadegata Instant Party」を結成し、ユニットとしても活動。2007年末より「遊戯室 (中﨑 透+遠藤水城)」を設立し、運営に携わる (~2021年)。2011年より「プロジェクトFUKUSHIMA!」に参加、主に美術部門のディレクションを担当。近年の主な展覧会に『越後妻有 大地の芸術祭 2022』(新潟、2022年)、個展『FICTION TRAVELER』水戸芸術館現代美術ギャラリー (茨城、2022年) など。『Art Fair Beppu 2023』参加 (別府、2023年)。2023年、芸術選奨新人賞受賞。

Statementステイトメント

制作全体を貫く関心に「コミュニケーションの危うさ」がある。自分が思う自分と他人が見る自分との間の距離、いわば「ズレのようなもの」に焦点を当てて作品を作ってきた。例えば初期の看板作品は、イメージと商品そのものの距離やズレをテーマとしている。人間が二人いればいつでも起こるような何気ない誤解や誤読を含んだミスコミュニケーションこそが人間が本来有すコミュニケーションの根源的な形態であると捉え、重要なモチーフであると考えた。あるいは大衆が熱狂するプロパガンダのような形式をコミュニケーション批判として批評的に用いてもきた。

最近特に関心を抱いているのは、記憶と事実の距離である。仮に誤った記憶を言葉にした瞬間に、言葉にした事実が生まれることがある。複数の曖昧な記憶が、記された歴史を揺さぶることもある。「小さなもの」と「大きなもの」や、虚と実が行き来して溶けるような感じがしている。素材それ自体は問題ではなく、まだ起こっていない何かを鑑賞者に想起させ、時には実体をともなった現実の風景としても立ち上がると良い。この「可能性のようなもの」自体が作品なのだと捉えて実践している。

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