浅野ひかりAsano Hikari

浅野ひかり

浅野ひかり《Tatami》2023

※画像と出品作品は異なる場合があります

協力・サポート:株式会社国枝

Profileプロフィール

1996年生まれ。美術作家。2019年東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。2023年東京藝術大学美術研究科グローバル・アート・プラクティス専攻修了。主に国内では必要不可欠ではなくなってしまった和室に着目し、動きや錯覚を取り入れた立体作品を制作している。2023年 Artの力賞受賞、2019年 平成藝術賞受賞。2024年 sanwacompany art award ファイナリスト、2023年 Terrace Art Shonan AWARD 2023 テラスモール湘南賞受賞。主な展覧会に「境界 - border -」(藝大アートプラザ、東京、2023)、「丸い地球の模様替え - 仲町の家 - 」(仲町の家、東京、2023)、「小須戸ARTプロジェクト」(町屋ギャラリー薩摩屋、新潟、2022)「星と海の芸術祭」(茨城県日立市、2022)「CAF AWARD 2019 ファイナリスト展」(ヒルサイドフォーラム、東京、2019)など。

Statementステイトメント

私は「和室」をテーマとした作品制作を行っている。
きっかけは建具職人だった祖父の影響で、和室やそれに付随する家具が日常生活の中に当たり前のようにあったことから始まる。過去作では、私が実際に暮らしていた四畳半の部屋をモチーフにした作品制作を行なっていた。しかし展示を行う度に、現代の生活で和室があまり馴染みのないものとして捉えられているように感じた。居住空間の洋風化が進み、自宅がフローリングで統一された空間が増加するなか、人々の和室の認識やイメージが希薄しているように思える。また和室の印象は、世代によって異なることに驚いた。「自宅にある畳と似ている。普段当たり前のようにあるものが、作品になってて驚いた」「実家での暮らしを思い出して懐かしい」「もう自宅に和室はない。子どもが畳に触れることが新鮮」など、意見は様々である。世代によって感じ方のグラデーションのある「和室」という存在が気になり、制作を続けている。

その中でも畳に関しては、岐阜県の特殊畳を製造する「株式会社 国枝」を訪れ、現代畳の製造技術を学んでいる。畳製造現場にいるなかで、居住空間に畳を敷くことよりも、非日常的な空間づくりとして畳を用いられることが多くなることを知った。畳を従来の用途として使用するのではなく、斬新さと新しさが存続の鍵であると感じた。

和室や畳が日常の一部から消えつつある現代において、その存在感を再認識させることが作品制作の目的である。過去にも和室をテーマにした作品を多く制作してきたが、展示の度に鑑賞者同士が和室や生活について語り合う場面を目にしてきた。日常生活で見慣れた物質を畳という素材に変換して、世代間の架け橋となり、鑑賞者同士のコミュニケーションを生むことを目指している。

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