鈴木萌子Suzuki Moeko

Profileプロフィール
1998年茨城県生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。農作物を育てる両親のもと、様々な生き物と共に過ごした幼少期の体験が制作の原点となっている。写真家だけでなく、彫刻、絵画などのアシスタントも行い、表現の幅を広げている。
写真と様々なマテリアルを掛け合わせた作品を通じて、人間と自然の関係性を問い直している。
代表作「Stone」シリーズでは、江戸から明治時代の銅精錬過程で生み出された産業廃棄物「カラミ石」を植物の培地として再構築し、人工物と自然の新たな共生関係を提示。
「Bone」シリーズでは駆除された野生動物の骨を粉末化することで、開発や里山管理放棄によって歪められた生態系の現状を視覚化している。生命の循環、失われゆく自然の均衡と人間活動が引き起こす生態系の歪みを探求。
収蔵
「残照の古民」(福島県広野、2025年)
グループ展
2025年『アーティスト・イン・レジデンス「日の出の松」展』広野未来館(福島)
2024年 「MEET YOUR ART FESTIVAL 2024」WHAT CAFE (東京)
2023年 「SHIBUYA STYLE vol.17」渋谷西武(東京)
Statementステイトメント
生と死、自然と人工、—これらの境界線は固定的なものではなく、絶えず流動している。変化のプロセス自体が、既存の価値体系への根本的な問いかけとなっている。
幼少期から親しんできた動植物との日常が、やがて生命の管理という行為への違和感へと発展した。この感覚が現在の表現活動の出発点である。写真と様々なマテリアルを融合させた手法により、見えない関係性を可視化し、失われつつある生態系の記憶を物質に刻み込んでいる。
「Stone」では産業遺産としてのカラミ石に新たな生命を宿らせ、生命の循環や自然の復活について考察を促している。「Bone」では駆除された野生動物の骨を素材として扱い、生命の痕跡を通じて生と死の境界を問い直している。
作品は観者との対話を通じて意味を生成し、変容のプロセスを目撃する場となる。固定化された認識の境界を解体する体験へと導いている。
制作行為は失われた均衡への哀悼であると同時に、新たな共生関係への模索でもある。この継続的な実践を通じて、思考と感情の新たな回路が開かれる。人間活動が引き起こした生態系の歪みを凝視しながら、その先にある可能性を探求し続けている。