大川原 脩平Okawara Shuhei

大川原 脩平

大川原脩平《あの顔》

※画像と出品作品は異なる場合があります

Profileプロフィール

大川原脩平は、制度や市場における「顔」や「身体」の取り扱いを主題に、実店舗の運営と作品制作を並行して行うアーティストである。2016年より仮面専門店「仮面屋おもて」を東京・京島に開業。以後、国内外の仮面作家と連携しながら、展示・販売・受注制作を行うほか、現代における仮面文化の再定義を試みている。2020年には、実在の人物から顔の使用権を取得し、超精密なレプリカマスクとして販売するプロジェクト「あの顔」を開始。国内外で話題となり、海外を中心に現在も売れ続けている。また年に一度「TOKYO MASK FESTIVAL」を主催し、独自の仮面文化の発信拠点を築いている。


トランプ専門店「うそのたばこ店」では、見た目はタバコ屋でありながら中身はすべてトランプという二重構造の空間設計を手がけ、2024年より24時間無人営業を導入。そこから展開した「両替」パフォーマンスでは、貨幣の等価交換そのものをゲームと再定義する試みを行い、すべての人間に参加可能な開かれた芸術実験として定着しつつある。これらの活動に加え、舞踏家や手品師としての活動も展開し、身体表現の分野でも独自の実践を継続している。

Statementステイトメント

大川原脩平の作品は、日常の中に潜む制度や慣習をズラしながら、作品として立ち上げていく構造的なアプローチを特徴とする。とりわけ「仮面屋おもて」と連動したプロジェクト「あの顔」は、顔というもっとも個人的な情報を、合法的に取得・複製し、市場に流通させることで、個人性と商品性の境界を露呈させる制度設計型の作品である。観賞用かつ実用可能な「顔」という商品の不安定な存在は、所有・倫理・欲望といった問題系を鋭く浮かび上がらせる。


一方、「うそのたばこ店」における「両替」パフォーマンスでは、貨幣の交換という誰もが日常的に行う行為を、勝敗のないゲームとして提示。参加者は、特に明確な目的もなく1万円札を崩す行為に没入することになるが、その「無目的性」が逆に、制度そのものを可視化する力を持っている。大川原の実践は、制度と身体、日常と逸脱の接点を立ち上げ、生活の枠組みを静かに更新していく試みである。

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