中塚文菜Nakatsuka Ayana

Profileプロフィール
1993年 岡山県倉敷市生まれ。2016年 広島大学 教育学部 造形芸術系コース 卒業、2019–2020年 スウェーデン王立美術大学 交換留学、2021年 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士前期課程 芸術専攻 修了。生活上で起こる個人的な出来事を糸口として、自身と対象の距離を確かめるようにしながら作品を制作・発表している。近年は社会や美術制度の中で何が選ばれて何が選ばれなかったのか、何が大きくされて何が小さくされているのか、また、記憶がどのような形をもって継承・表象されるのかを考えながら生活や制作を続けている。主な展覧会に「群馬青年ビエンナーレ2025」(群馬県立近代美術館, 2025)、 「いくつかの日とのストロークス」(あをば荘, 2024)、「生き延びるためのラプソディ」(ギャラリー無量, 2024)、 「誰かの祈りを開いて閉じる」(タメンタイギャラリー, 2023)など。
Statementステイトメント
生活上で起こる個人的な出来事を糸口として、自身と対象との距離を確かめるようにしながら作品を制作・発表している。
近年は、自身と繋がりのある場所やもの、ことを依りどころとして「社会や美術の中で何が選ばれて、何が選ばれなかったのか」「何が大きくされていて、何が小さくされているのか」という問いを抱えながら、記憶がどのような形をもって継承・表象されるのか思案し、生活と制作を行なっている。これは、個人的感覚に根差した営みによって自身の外側にある社会制度、美術制度、表象文化などの構造に問いを投げかけるための実践であるのかもしれない。
一方、制作方法においては同じ行為を繰り返すというある種の執拗さが見られる。単調な反復行為は痕跡や時間の積層、日常生活や労働を可視化する試みであるともいえるが、これらの手作業を行うあいだは自己の内面に深く潜り込む時間になっている。それは、形はどうであれ、祈りに近いものでもある。