阿部浩二Abe Koji

Profileプロフィール
美術作家。1970年大分市生まれ。1992年武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業。日常とアートの交点を記録する作品を制作。在学中に絵画に身体性を付与した《無題(put on take)》や、緊張をモチーフにした作品《知恵熱》を発表。主なグループ展に『ヤン・フートIN鶴来-現代美術と街空間』(石川県、91年)、『ヤン・フートの眼』(三菱地所アルティアム、91年)、『ボイスを考える部屋』(ワタリウム美術館、91年)、『第1回ヨハネスブルグビエンナーレ』(南アフリカ共和国、95年)、『構築するもの、風景なるもの』(ラングドォック地方現代美術センター、仏、97年)、『私だけのMUSEUM』(福岡市美術館、98年)、『外出中』(ミュージアムシティ福岡、2000年)等。個展は『「」』(ギャラリー アリーン・ヴィダール、仏、98年)、『名前はまだない』(OASIS総合文化センター、大分、00年)、『伝記』(オーネマノクロザス、埼玉、01-02年)、『初夏』(nohako、東京、15年)。ヴィラサンクレール(南仏、94年)や、シテ インターナショナルデザール(パリ、98-99年)でレジデンス。
Statementステイトメント
最近は、近所にやってくる小さな生き物、いただいた野菜、果物を眺めて、そして、それらをもとにした木彫や素描、絵画を制作しています。この作業は、遠くの風景を見つめたときの茫洋とした感覚を、身近な小さな自然に置き換える試みとして、2009年に始めました。景色というモチーフに含まれる豊かな魅力にも、あらためて気づかされます。
作業の目的は自身の感覚の調整で、実際に続けていくと、温暖化や近くの自然の量の減少などが、くっきりと見えるようになりました。他にも、ポートレイトを題材にしたものや、工業製品を動物に見立てた写真など、完成が制作の終了を意味するのでなく、観察が目的の作業を続けています。このような、観察による感覚の記録、再確認する作業が、普遍性や芸術について再考察すること、新たな表徴を模索することと考えています。