川島桃香Kawashima Momoka

Profileプロフィール
2000年広島県生まれ。恋の画塾1期生・現在2期生として在籍。主な個展に、2025年「花葬/人間に愛されなければ、今もまだ生きていただろうか」(OM SYSTEM PLAZA Creative Wall/東京)、2023年「じゃあ、いくか?ああ、行こう。ふたりは動かない。沈黙。」(aL Base/東京)、2022年「わたしは、海に、還った。」(タメンタイギャラリー 鶴見町ラボ/広島)など。主なグループ展に、2024年「IAG AWARD 2024」(東京芸術劇場 ギャラリー1/東京)、2024年「SICF25」(スパイラルホール/東京)、2021年「広島国際映画祭」(NTTクレドホール/広島)など。「Limelight 2024」Under30部門グランプリ、「TURNER AWARD 2022」未来賞ほか受賞歴多数。紫尾アートプロジェクト2024アーティスト・イン・レジデンス参加。現在は広島県に構えるアトリエを拠点に、絵画を中心とした活動を展開している。
Statementステイトメント
川島桃香は、「喪失が生じた後においても、実体のない他者を愛し続けることは可能か」という問いを起点に、絵画・インスタレーション・詩・テキストを主軸とした制作を行う。「君」と呼ばれる他者の存在は、単なる個人ではなく、喪失された他者全体の象徴として立ち現れる。その不在がいかに私たちの内部に留まり、変容していくのかを主題としている。デリダが説いた「記憶は保存の過程で本質を失う」という逆説は、川島の制作に深く関わる。しかし「君」を記憶し記録しようとする行為は、同時にその本質を変えてしまう可能性を孕むが、矛盾を抱えながら制作を続けることそのものを、愛するという営みと捉えている。
また、テキストにおいて、「君」と「私」の対話や反芻を続けることの有限性についても、川島の制作の基軸となっている。近年は、自身の書いた言葉を、絵画やインスタレーションへと変換することで、「君」の不在を記録することを制作の主軸としている。言語と非言語の間に生じる「翻訳のずれ」を意識しながら、「君」の不在の輪郭を、変容と喪失を内包するかたちで表象し続けている。