迫 鉄平Sako Teppei

迫 鉄平

迫鉄平《ミラー・ウーマン・セッションⅡ》、2022年

※画像と出品作品は異なる場合があります

Profileプロフィール

1988年、大阪生まれ。2014年、京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程(版画)修了。2015年、『第38回公募 キヤノン写真新世紀2015』グランプリ受賞

主な個展
2021年『POOR, VIDEO, ANYTIME GOD.』(Sprout Curation、東京』
2019年『All Along The Watchtower』(YEBISU ART LABO、愛知)
2018年『FLIM』(Sprout Curation、東京)
2017年『CHILL TOWN』(VOU/棒、京都)

主なグループ展
2024年『Think Twice』(ニュースペース パ、東京)
2023年『新しい嘘』(アート/空家 二人、東京)
2022年『写真新世紀30年の軌跡展-写真ができること、写真でできたこと』(キヤノンギャラリーS、東京)、『日常の揺らぎ』(BAG -Brillia Art Gallery-、東京)
2021年『多摩美の版画、50年』(多摩美術大学美術館、東京)
2020年『New Photographic Objects』(埼玉県立近代美術館、埼玉)

Statementステイトメント

路上で何かを発見したり、不意に出会う時、私は思わず「あっ!」とカメラのシャッターを切る。このようにして撮られたスナップ写真が「決定的瞬間」を捉えるという根源的な性質を元に、連続する写真としての映像作品を制作している。また、写真をプリントするためのメディアとしてのシルクスクリーン版画、ステッカー印刷を用いたコラージュ作品など、写真のようでありながらも異なる特性をもつメディアを利用して作品制作を行うことで、「決定的瞬間」の問い直しや無効化を試みている。

映像作品のシリーズでは、路上で出会う様々な「あっ!」という「決定的瞬間」を動画という持続する時間によって「あーーーーーー!」と「決定的瞬間」を引き伸ばすことで、被写体を解放することを試みている。

スナップ写真のシリーズは、2020年4月から現在に至るまで毎日欠かさずに外出し撮影された大量のスナップ写真群から選び作品化している。例えば、鏡の反射による光源の複数化によって「あっ!」ではなく「あ!あ!あ!」と「決定的瞬間」を折り畳むようにコラージュしてみたものや、Photoshopで複数の同モチーフの写真を合成したり、別のスナップをステッカーに印刷し上から貼り付けることで「決定的瞬間」の解体を試みている。

〈Fools Gold〉というシルクスクリーン版画のシリーズは、CMYKの4色に分解したスナップ写真の原稿をそれぞれコピー機のスキャン機能で歪ませることによって、刷り重ねて再現される写真に版ズレを起こし、写真を構成するインク本来の色彩を前景化させることで矩形内に安定した写真イメージに揺さぶりをかけることを試みている。

また、写真のトレースやシルクスクリーン版画と自筆によるドローイングを組み合わせることで新たな写真イメージを生み出している。

このような試みを通じて、写真のもつ「決定的瞬間」という唯一性に様々なメディアを通し介入することで、瞬間芸術以外の写真イメージの可能性を探究していきたいと考えている。

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